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日本服飾史

推古・飛鳥時代


  

天智朝文官朝服


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 クーデターより蘇我氏を打倒した中大兄皇子は氏族協議による国政運営を、天皇家中心のものとされた。当時国際情勢は唐の高句麗遠征の決意や日本が支援する百済の衰運と新羅の朝鮮半島統一への進展等あり、内外の情勢に対応、服制の改正がなされた。その目的の一つは推古朝の冠位の制定が氏族の首領はそのままに国政の実務をとる後代の正四位参議程度以下をその対象としたのに対し、蘇我氏誅殺後の大化3年[647]の改正は1、2、3位に相当する大、小織冠、大、小繍冠、大、小紫冠を置くことであった。大、小は正、従の位にあたる。又冠の縁は織、繍冠に対しては刺繍を入れ紫冠は織物、錦、青黒の冠は錦とし、文様で区別され、最も低い建武冠[初位又は立身]は黒絹でつくり紺色のもので縁がとられていた。
 国政をとる最高位迄すべて官僚機構の中に組入れることを意味している。服及冠の色は織、繍冠は深紫、紫冠は浅紫、錦冠は真緋、青冠は紺、黒冠は緑、建武冠は黒絹であった。
 縁の色は織、繍冠は同色の深紫、紫冠の縁は織物とのみあって色が書かれていないが同色で刺繍がないものと思われる。以下は錦の名称のみで色名がないので判然としない。冠の全体の姿は推古朝制定のものとほぼ同一と思われる。又、この冠が平常の出仕に用いられていたと考えられる。
 更にこの冠の他に鐙冠が制定されている。これは黒絹を以ってつくり其の冠の背には漆羅[うるしぬりのうすはた]を張り縁(もとほり)と鈿(うず)を以ってその冠位の高下を区分された。形は蝉(せみ)に似たとある。古訓には「かざりくし」と訓まれている。
 小錦冠以上の鈿は金銀をまじえて作り、青冠は銀、黒冠は銅、建武冠は鈿なしと記されている。
 更にこの冠は大会と饗客(きょうきゃく)及4月、7月の斎会の時に着るとある。大会は元旦や即位の大礼などを云うのでこの冠が儀式用のものとして定められたことが判る。即ち正式の冠は日本古来の冠の姿をうけつぐものであり、鐙冠は、朝鮮半島の伽耶、百済や新羅の人々との交流を思うと、それに近いものではなかったかと思われる。鐙冠の鐙の意味は当時の馬にのる時の鐙に似た形で、「つぼあぶみ」といわれる形であり、冠の背に漆羅の蝉の木にとまる羽の姿に似た形を頭の髷(まげ)の背につけたもので、後の纓に相当するようにも思われる。冠の形は慶州の韓国国立博物館所蔵の天馬塚出土の冠帽に似、漆羅を似って張られている背の部分は同じ天馬塚出土の蝶形冠飾に似たものであり、鈿はソウル韓国国立中央博物館所蔵の全南、羅州新村里9号噴出土の冠の縁の立て飾りのようなものではないかと考える。
 平成4年10月30日に法隆寺全堂の重文台座に描かれた落書の人物画の発見が報ぜられていたが、この姿が中国西安近郊の「章懐太子墓」壁画の外国使節像とも通じるものがあり、法隆寺の再建が丁度この頃に相当するとすればこのように考えてもよいように思われる。又、藤原鎌足の墓ではないかといわれている、阿武山古墳のX線研究がなされ、その発表が奈良国立文化財研究所より昭和63年に出版されている。その中に像の刺繍の文様などが復原されている。これ等を参照し、ここに両方の冠をともに考証した。
 服装の形状は朝鮮半島との交流の状況を思うと推古朝の様式よりも高松塚壁画にみる、天武持統朝の様式であると考えられる。又、織物については当時の文様を参照したものである。
 最初に冠位が制定された推古天皇11年[603]より大化3年[647]は43年を閲している。
 孝徳天皇大化3年の7色13階冠並に鈿3種、服色5種の制定及鐙冠の制の2年後即ち大化5年[649]2月には中間の官吏層を拡充した冠位19階の改定があり、更に斎明天皇をへた天智天皇の称制3年[664]にはこれを更に増した26階が制定されている。天智天皇の称制2年[663]には白村江での敗戦があり、戦後の内政処理に必要なことだったのであろう。

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1  冠(かんむり)
2  袍(ほう)
3  笏(しゃく)
4  袍(ほう)の襴(らん)
5  褶(ひらみ)
6  表袴(うえのはかま)
7  襪(しとうず)
8  長紐(ながひも)




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